What are you doing?

 自宅で初級の英会話教室を開いている人から聞いた話。
 その人はいわゆる帰国子女で、旦那は米国人なので、家族の会話は日本語と英語のチャンポンなのだけれども、やんちゃな6歳と4歳の娘も、ついでに英会話教室の生徒に入れてしまっているらしい。
 で、ある日のレッスン。この日は"What are you doing?"(「何をしているのですか?」)と問いかけて、"I am playing baseball."(「私は野球をしているところです。」)などと答える練習をしていた。すると自分の娘が、それを聞きながら、何か違うな〜という顔で意外な発言。「それって怒られた時に聞かれる言葉だよね。」
 確かにそうなのだ。特に子どもにとっては。テーブルに落書きとか、料理に指を突っ込むとか、何かいたずらしているところを見つかるとまず、「何やってるの?」と聞かれる。そのあたりは日本語でも英語でもあまり変わらないから、この家の場合はよく"What are you doing?"となる。(おぉ、日常会話なんだねぇ。)ちなみにその娘が最初に覚えた英会話表現は、"Don't touch!" (「さわっちゃダメ!」)だそうだ。
 だいたい、目の前の人が何をやっているかなんて、普通は聞くまでもないことだからね。初期に習う会話にはそういうものが多いので、よく考えるとおかしいことはよくある。通常の会話なら、分かり切ったことを改めて聞く場合、その問いには何か別の意味(大抵は咎めている)があることになる。
 別に、こういう会話練習を批判するつもりはない。ただ、そんな日常レベルの知識も一緒に知っておいた方が、英会話としての習得も早いのだろうと思う。怒ったり怒られたりといった感情を伴うと、記憶は増強されるらしいし。